これからの社会的企業に求められるものは何か カリスマからパートナーシップへ
本書は、「新しい政策や手法を生み出す」特別な事象と考えられる「社会起業」「社会起業家」にではなく、「持続可能性があり社会的な課題にビジネスの手法を用いながら取り組む組織」である「社会的企業」に焦点を当てたものである。
国内外の社会的企業の事例を取り上げ、社会的企業がどのような社会的意味を持ち、そのビジネスがどのような原理に基づいて展開されているのかを解説した一冊。
[ここがポイント]
◎ 「社会起業」の発展形として「社会的企業」を捉え、その持続可能性について考察。
◎ 国内外の様々な事例を紹介。
第Ⅰ部 理論編
第1章 社会的企業の意義と可能性(川村暁雄)
1 社会的企業の意義
2 社会的企業が社会的課題解決においてどのような役割を果たすのか
3 社会的企業の可能性
第2章 公共サービス政策と社会的企業(遠藤知子)
――イギリスの事例から
1 政府と社会的企業の協働
2 イギリスにおける第三セクター
3 イギリスにおける社会的企業の発展
4 公共調達と社会的企業
5 公共調達をめぐる政策動向
6 社会的企業をめぐる公的枠組み
第3章 社会参加を促進する社会的企業(川本健太郎)
――障害者の労働参加の事例から
1 障害者の労働参加の場としての社会的企業の可能性
2 障害者の課題とは
3 障害者に「福祉的就労の場」を生み出す社会的企業
――共同作業所運動の歴史から
4 障害者の経済的・社会的統合に向けて
――これからの社会的企業の課題と役割
第Ⅱ部 実践編
第4章 コミュニティとの関係から生まれるしごとづくり(橋川健祐)
――リフレかやの里
1 リニューアルオープンしたリフレかやの里
2 リフレかやの里の起業とミッション
3 社会的企業としての事業類型とビジネスの仕組み
4 なぜビジネスが可能か
5 コミュニティの多様な期待を背に
第5章 ストリートチルドレンへの職業訓練(川村暁雄)
――フレンズ・インターナショナル
1 はじまりは,旅の途中でみた光景から
2 カンボジアのストリートチルドレン問題
3 フレンズ・インターナショナルの活動
――プノンペンのミットサムランを中心に
4 フレンズ・インターナショナルの役割
5 フレンズ・インターナショナルにとっての収益事業
6 途上国における社会的企業の役割と課題
第6章 ケアと住宅の共存を志向する(白波瀬達也)
――サポーティブハウス
1 ホームレスの減少と社会的企業
2 生活困窮者をめぐる居住問題
3 生活保護を活用したホームレスの居住支援
4 あいりん地域における定住化と居住支援
5 サポーティブハウスの取り組み
6 サポーティブハウスが抱える課題
7 社会的企業としてのサポーティブハウス
第7章 共感とつながりを生み出すコミュニティ基盤型事業の展開(柴田 学)
――住まいみまもりたい
1 「第四の消費」社会を感じることはできているか
2 住まいみまもりたいの活動概要
3 コミュニティ基盤型事業としての意義
4 実験的事業の安定的操業と暖簾わけ(NPOのフランチャイズ化)
――どんな課題に直面しているのか
5 共感資源の重要性と消費行動から生まれる“つながり”
――事例から学べる教訓とは何か
第8章 コミュニティ活性化と多文化理解の促進(木下麗子)
――コリアNGOセンター
1 在日コリアンの集住地域からの発信…
2 コリアタウンの歴史
3 コリアNGOセンターの概要
4 フィールドワーク事業
5 その他の事業
6 社会的企業である意味
第9章 フェアトレードによるコミュニティ・エンパワメント(武田 丈・武津美菜子)
――アピクリ
1 アピクリとは
2 アピクリの起源とミッション
3 アピクリの存在意義
4 ソーシャル・インパクト
5 フェアトレードによるコミュニティ・エンパワメントの可能性と限界
おわりに
索 引
コラム
1 社会的企業の収益事業と本来の問題解決の責任主体
2 障害者の雇用創出と労働統合型社会的企業
――アドバンス西宮
3 若者支援と労働統合型社会的企業
――K2インターナショナルグループ
4 貧困ビジネスと社会的企業の見分け方
――貧困問題に対峙するほっとプラスの相談支援現場から
5 社会が作る市場の歪みに挑戦する「しゃらく」
6 多言語・多文化ネットワークの力を活用した医療通訳事業
――多言語センターFACIL