災害復興におけるソーシャル・キャピタルの役割とは何か 地域再建とレジリエンスの構築
本書は、「ソーシャル・キャピタル」「レジリエンス」「ソーシャル・ネットワーク」をキーワードに、インタビューによる質的調査とデータによる量的分析から、災害復興において地域コミュニティが果たす役割を考察したものである。
地域コミュニティが今後の災害への備えを考えるうえで、多くの示唆が得られる一冊。(原書:Aldrich,D.P.(2012)Building Resilience:SocialCapital in Post-Disaster Recovery,The University of Chicago Press.)
[ここがポイント]
◎ ソーシャル・キャピタルをキー概念にした論考。
◎ 地域での災害復興において、地域コミュニティが果たす役割を考察。
序 文
第1章 ソーシャル・キャピタル――災害後の復興におけるその役割
1 災害の定義とその被害の大きさ
2 レジリエンスと復興
3 復興に関するこれまでの理論
4 ソーシャル・キャピタル――研究途上の要素
5 議論の概要
6 本書で取り上げる災害事例
7 各章の概要
第2章 ソーシャル・キャピタル――二面性を持つ復興資源
1 ソーシャル・キャピタル研究の歴史の概略
2 因果のメカニズム――集合行動における問題の克服
3 ソーシャル・キャピタルの測定方法
4 ソーシャル・キャピタル――負債として,資産として
5 災害復興への応用
6 災害はソーシャル・キャピタルを変えるのか?
第3章 関東大震災(1923年)
1 地震による被害
2 復興のスピードを決定する要因
3 使用するデータ
4 方法および結果…
5 結 論
第4章 阪神・淡路大震災(1995年)
1 震災による神戸市の被害
2 定性的データによる比較
――ソーシャル・キャピタルと復興との関連
3 復興と相関する要素
4 定量的データ
5 手法と結果
6 結 論
第5章 インド洋大津波(2004年)
1 インド洋大津波の被害
2 事例検討
3 定量的分析⑴――タミル・ナードゥ州の62の村々
4 定量的分析⑵――1,600人の住民
5 結 論
第6章 ハリケーン・カトリーナ(2005年)
1 ハリケーン・カトリーナの被害
2 「公共悪」としてのトレーラー
3 設置場所の決定に影響を与える要素
4 使用するデータと分析方法
5 結 果
6 考 察
7 結 論
第7章 国家と市場の狭間で――進むべき方向性
1 政府による計画は大がかりであるがうまくいかない
2 現行の政策は社会のつながりを軽視しているか,あるいは損なってしまっている
3 進むべき方向性
――ソーシャル・キャピタルを育む新たな政策と取り組み
付 録
参考文献
訳者あとがき
索 引