スクールソーシャルワーカーの学校理解 子ども福祉の発展を目指して
現在,スクールソーシャルワーカー(社会福祉士など)が急増している。しかし一方で,今日的な学校経営や教師教育・教育実践・子どもの発達論をふまえた「学校理解――職場理解」の習得が,経験則(OJT)にたよっている状況にある。しかも,学校現場では,「即戦力」として扱われることが多い。本書は,こうした現状にある初任者や経験者に対して,「何を支援するのか」という視点から考察するものである。
[ここがポイント]
◎ 福祉と教育の相互の理論的結節点を考える
◎ 学校理解の実際を「理論面」と「実践面」から学ぶ
第1章 スクールソーシャルワーカーと学校福祉
1 「危機のなかの教育」と学校,そして教師は
2 教育と福祉の養成論の共通点を探る
3 学校の福祉的機能の再生
4 「支えられる能力」をめぐる実践的提起
〔コラム1〕“ソーシャル・センター”としての学校 ――ジョン・デューイから学ぶ
第2章 学校から子どもの貧困を問い直す
1 子どもの貧困と貧困対策
2 子育て格差とみえない貧困
3 貧困対策をめぐる教師と学校
〔コラム2〕学校事務職員からみた子どもの貧困
第3章 スクールソーシャルワークと子どもの権利
1 子どもの権利
2 スクールソーシャルワークによる子どもの権利保障
3 スクールソーシャルワーカーの職業倫理
4 教育福祉としてのスクールソーシャルワーク
〔コラム3〕高校福祉科教員とスクールソーシャルワーカー
第4章 学校である意味と課題
1 学校による問題発見機能
2 学校による家庭支援機能
3 学校・家庭・地域の連携
4 誰もが生活しやすい地域
〔コラム4〕学校と地域をつなぐNPOの取り組み
第5章 子どもの生活現実から出発する教育実践
1 子どもの自立を支援する2つの実践記録から
2 スクールソーシャルワークを担ってきた学校と教師
3 生活指導と生徒指導
4 生活指導とスクールソーシャルワークの接点
〔コラム5〕子ども心のなかにきっとある「しあわせになる種」をみつけたい
――学校でのコーディ―ネーターとしての実践
第6章 臨床教育学からみた学校ソーシャルワークの視点
1 臨床教育学の目的
2 心理教育的アプローチとソーシャルワーク
3 プロフェッショナル養成
4 子どもの学習と生活の質(QOL)のつながり
〔コラム6〕保健室からの子どもの見守り
第7章 学校におけるソーシャルワークの実践
1 教師の同僚性や子ども・保護者の教育参加を活かす
2 勤務場所の拠点と専門職としての軸足――アプローチの多様性を考える
3 学校アセスメントのあり方
4 学校・教育委員会の教育計画とスクールソーシャルワーク
5 スクールソーシャルワークにおいて求められる法制度の理解と活用
〔コラム7〕スクールソーシャルワーカーの配置・巡回・派遣について考える
第8章 自らの知識や経験をいかに活かすのか
1 [座談会] スクールソーシャルワーカーの学びを考える
2 スーパーバイズの実際から
3 研修会や学習会をどう進めるか
〔コラム8〕活動目標を自らつくる
おわりに――個の尊厳を守る専門職として
〔巻末図書一覧〕
スクールソーシャルワーカーに読んでほしい学校教育・教育実践関連の図書一覧
索 引