ユダヤ人児童の亡命と東ドイツへの帰還 キンダートランスポートの群像

イギリスの民間団体による「キンダートランスポート（子どもの移送）」でナチス・ドイツから救出された子どもたち。残された家族のほとんどはホロコーストで殺害された。その子どもたちの中に、戦後東ドイツに帰国した人々がいる。本書は、彼らの証言から、ファシズム、戦争、人種主義、難民、社会主義とその崩壊という20世紀の世界が直面した諸問題を考察する。

 

［ここがポイント］
◎ ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の実態を彼ら自身の貴重な証言と史料分析から探る
◎ イギリスの「キンダートランスポート」という活動によって救われた子どもたちを描く

略語表・人名番号および人名表記

序　章　難民の世紀におけるユダヤ人の子どもたち

　第Ⅰ部　第三帝国の成立とキンダートランスポート
第１章　第三帝国の成立とドイツのユダヤ人
　１ 対ユダヤ人強制的出国政策
　２ 第三帝国成立と子どもたちの生活

第２章　ユダヤ人の出国と国際社会——1938年11月ポグロム以前
　１ エヴィアン会議とイギリスの亡命者受け入れ政策
　２ ドイツにおけるユダヤ人児童青少年出国支援活動

第３章　入国許可を得た子どもたち——キンダートランスポート
　１ イギリスのユダヤ人児童青少年救援組織
　２ 子どもたちの出発

第４章　海を渡った子どもたち——イギリスでの生活
　１ イギリスでの生活の開始
　２ 戦争の展開と子どもたち

　第Ⅱ部　東ドイツに帰還した人々
第１章　ユダヤ人青年と自由ドイツ青年同盟
　１ 亡命ドイツ人組織とドイツ共産党（ＫＰＤ）
　２ ソ連占領地区／ドイツ民主共和国への帰国

第２章　キンダートランスポートと東ドイツでの生活——インタヴュー記録から
　　⑴ウルズラ・デーリング　Ursula Döring（Zippert）
　　⑵ヘルガ・エーレルト　Helga Ehlert（Dresdner）
　　⑶アルフレート・フライシュハッカー　Alfred Fleischhacker
　　⑷クルト・グートマン　Kurt Gutmann
　　⑸ヘラ・ヘンドラー　Hella Händler（Simon）
　　⑹インゲ・ラメル　Inge Lammel（Rackwitz）
　　⑺ギゼラ・リンデンベルク　Gisella Lindenberg（Wolf）
　　⑻マリアンネ・ピンクス　Marianne Pincus（Brasch）
　　⑼ヴェルナー・ヘンドラー　Werner Händler
　　⑽ウルズラ・ヘルツベルク　Ursula Herzberg（Lewinsky）
　　⑾ハンス・ヘルツベルク　Hans Herzberg

終　章　自由ドイツ青年同盟と東ドイツの終焉

あとがき
史料・文献目録
インタヴュー日付一覧
索　　引