ヘーゲル論理学と矛盾・主体・自由
ヘーゲルの哲学体系の根幹をなすものであるにも関わらず、彼の論理学の全体像はこれま
で十分に解明されてきたとは言い難い。本書ではまず『大論理学』、『小論理学』、『論理学講義』をテキストとしてヘーゲルにおける論理学の性格を明らかにする。そのうえで、その哲学の中心概念である「矛盾」、「主体」、「自由」
の論理を考察し、『法の哲学』をも視野に入れて、ヘーゲル哲学の現代的意義を問いなおす。
[ここがポイント]
◎ これまで十分に解明されてこなかったヘーゲル論理学の現代的意義を論じる。
◎ ヘーゲル論理学の理解をもとに、その哲学における重要概念を新たに読み直す。
凡 例
第Ⅰ部 ヘーゲル論理学とは何か
第1章 論理学・形而上学・方法論
はじめに
1 ヘーゲル論理学の対象としての「客観的思考」
2 カントのカテゴリー論とヘーゲル論理学
3 論理学=形而上学=方法論
4 カントとヘーゲルのカテゴリー体系
5 ヘーゲルのカテゴリー体系構成をめぐって
第2章 『小論理学』「予備概念」の意義
はじめに
1 論理学の対象としての「客観的思想」
2 論理学への導入の問題
3 客観性に対する思想の三つの態度
4 論理的なものの三側面
第3章 『論理学講義一八三一年』における「主体」と「自由」
はじめに
1 『論理学講義一八三一年』について
2 近代哲学の「大問題」とヘーゲル論理学
3 『論理学講義一八三一年』における「主体」の論理
4 ヘーゲル論理学における「自由」
第4章 論理と現実をめぐって
はじめに
1 ヘーゲル論理学の性格
2 有論から本質論への移行
3 本質論から概念論への移行
4 分析的方法と弁証法的方法
5 ヘーゲルの観念論とマルクスの唯物論
第Ⅱ部 矛盾の論理
第5章 ヘーゲル論理学における矛盾論
はじめに
1 ヘーゲル論理学の方法論と矛盾
2 有論における矛盾
3 本質論における矛盾
4 概念論における矛盾
5 絶対的方法と矛盾
第6章 矛盾律、アンチノミーとヘーゲル
はじめに
1 アリストテレスの矛盾律とヘーゲルの矛盾
2 カントのアンチノミーとヘーゲル
第Ⅲ部 主体の論理
第7章 主体の生成と論理構造
はじめに
1 「主体」の論理の発生的解明
2 「主体」の論理構造
3 「主体」の理解をめぐって
第8章 主体の推理構造
はじめに
1 ヘーゲルにおける推理の意味
2 推理の体系
3 三重の推理構造
第Ⅳ部 自由の論理
第9章 必然性と自由の論理
はじめに
1 必然性の論理
2 実体、因果性、交互作用の必然性から自由へ
3 『小論理学』における必然性から自由への移行
4 概念の論理と自由
5 目的論における自由
6 善の理念における自由
第10章 意志の自由と社会的自由
はじめに
1 理性的なものと現実的なもの
2 意志の自由
3 社会的自由
4 意志の自由と社会的自由
あとがき
〈Resümee〉 Widerspruch, Subjekt und Freiheit in Hegels Logik
索 引