日本の花卉園芸 光と影 歴史・文化・産業
我々の暮らしを彩り、冠婚葬祭や贈答にも欠かせない花卉。日本人は古くから花卉を愛で、独自の文化を培ってきた。第二次世界大戦、高度経済成長、オイルショック、バブル景気……時代の流れとともに花卉産業が辿ってきた歴史とはいかなるものか。本書は、日本における花卉園芸の歴史と文化、さらに産業としての現状と課題を専門家が読み解く。
[ここがポイント]
◎ 第二次世界大戦、高度経済成長、オイルショック、バブル景気……時代の流れとともに、大きく変化してきた花卉産業の歴史と現在をよみとく。
◎ 万葉の昔から受け継がれる、日本人の美意識と高い技術が培った園芸文化の歴史をたどる。
第1章 日本の花卉産業(福井博一)
——戦後から現在・将来へ
1 日本の花卉産業のあゆみ
2 切り花生産と消費の歴史
3 鉢物の生産技術と展開
4 花壇苗産業とガーデニングブーム
5 花卉の国際流通
第2章 日本の花卉流通(内藤重之)
——その変遷と近年の動向
1 花卉流通の全体像
2 切り花の需給と流通経路
3 鉢物・花壇苗の需給と流通経路
4 花卉流通の歴史的展開
5 大規模花卉卸売市場における取引の特徴
6 切り花流通における近年の取り組み
第3章 花店の変遷と成長(今西英雄)
——花の消費拡大を目指して
1 花店の変遷
2 花店の急成長
3 花の消費拡大方策
第4章 花卉育種の変遷(柴田道夫)
——ユリからバラまで
1 わが国の花卉の品種育成の現状
2 日本原産の「ユリ」
3 海外から逆輸入された「キク」
4 日本が開発した海外原産の「トルコギキョウ」
5 生産・流通に適した「カーネーション」
6 遺伝子組換えによる新花色の「バラ」
7 品種開発の今後の課題
第5章 花卉の品質管理技術の発展と課題(土井元章)
——生産から流通・消費まで
1 花卉の品質と生理
2 鉢物・花壇苗の品質管理
3 切り花の品質管理
第6章 栽培・流通の実態と問題点(宇田 明)
——次の100年のために
1 花作りはベンチャービジネスであった
2 生産の礎を築いた玉川温室村
3 日本初の花市場・高級園芸市場
4 花作りは「非国民」
5 主役の交代
6 苦悩する国産の花
7 花産業100年の「疲労」
8 花産業200年を目指して
第7章 日本の園芸文化(田中孝幸)
——江戸の園芸は世界最高レベルだった
1 花卉と文明
2 ツバキにはじまった江戸時代の園芸ブーム
3 西洋と東洋
4 これからの日本人と花
第8章 日本人の植物愛好(西川照子)
——キクを通してみる「室町ごころ」
1 『かざしの姫』とキク
2 『聊斎志異』の植物の精
3 奇樹・キクの怪
4 再び『かざしの姫』
索 引