記紀神話の真実
日本の古代は、想像を絶するほど大規模に仕組まれた虚構に覆われている。国家権力を手にした一族は、武力によって押収した他王朝の歴史書を、大胆にも根底から改変し、ねじ曲げておいて、これが自家の輝ける歴史だと声高に強調した。その虚構を丹念に暴く。第一巻では、『古事記』や『日本書紀』などに描かれた神話にはどのような史実が隠されているかを、出雲や伯耆の現地調査に即して解明する。
[ここがポイント]
◎ 古事記や日本書紀には何が隠されているのか。
◎ 鳥取や島根での現地調査をもとに解明する。
第Ⅰ部 真実はこのようにして扉を叩く
第一章 運命の一文
1 ささやかな一つの疑問
2 原文に復元する
第二章 不可解な『出雲国風土記』
1 浮かび上がってきた「宮」
2 宮の主を特定する
第三章 “ヒッサリクの丘”の発見
1 “ヒッサリクの丘”はいずこに
2 ここが“ヒッサリクの丘”だった
第四章 記紀神話を復元する
1 記紀神話の深層
2 記紀神話の復元
第Ⅱ部 独立戦争の勃発とその後の歴史
第五章 それは独立戦争だった
1 独立戦争勃発の地
2 蜂 起
第六章 偽装された夫婦
1 伊邪那岐と伊邪那美
2 伊邪那岐は筑紫のどこへ帰ったのか
第七章 姉弟ではなかった
1 天照とスサノオ
2 「須賀宮」の地を発見する
第Ⅲ部 スサノオと大国主
第八章 大国主の台頭と挫折
1 大国主と八十神
2 海上基地争奪戦
第九章 大国主の支援者
第十章 蛇の探求
1 蛇の発掘
2 蛇の影響力
第Ⅳ部 よみがえった英雄
第十一章 大国主の実像
第十二章 「仮の宮」からの出発
1 「仮の宮」の論証
2 やはり「宮」はここに存在していた
3 全国統一の原動力
第十三章 大国主の時代
1 そこは「朝廷」と呼ばれていた
2 「青垣」と「御諸山」の論証
第Ⅴ部 日本列島の政治地図
第十四章 「国生み神話」の謎を解く
1 「国生み神話」は伯耆・出雲で生まれていた
2 それは「オノゴロ島」ではなかった
第十五章 「国譲り」前夜
第十六章 「国譲り」の深奥
1 その虚実
2 それは壮麗な宮殿だった
第Ⅵ部 「天孫降臨」を解明する
第十七章 必死の軍事行動
1 周到に練られた軍事計画
2 最終目的地はここだった
第十八章 「天孫降臨」の知られざる暗部
1 猿田毘古と宇受売の謎を解く
2 「天孫降臨」悲話
第十九章 「天孫降臨」その後
1 ニニギと木花佐久夜毘売
2 二人の狂言回し
第二十章 「国引き神話」の真相
1 綱と杭による征服譚
2 八束水臣津野の正体
3 構築された危機管理体制
第二十一章 道標なき記紀神話造作説の行方
1 出発点で躓いていた戦後史学
2 方言の示す一断面
第二十二章 日本人の来た道
1 「生」への執着
2 生き残った真実
おわりに
事項索引
人名・神名索引