鏡が映す真実の古代 三角縁神獣鏡をめぐって
邪馬台国近畿説の重要な論拠である三角縁神獣鏡魏鏡説を根底から覆す国産説を、学者として最初に全面的に唱えたのが古田武彦であることは、一部の学者を除き無視されてきた。善意に解釈すれば厖大な論考の中に三角縁神獣鏡論が分散していたことにも起因すると思われる。本書は、その全著作の中から「鏡」に関するものを残らず纏め、加えて逝去直前の未発表二論文を掲げ、鏡による古代史の真の姿を映しだす。
[ここがポイント]
◎ 古代史家・古田武彦は、三角縁神獣鏡をどのように捉えていたか。
◎ 厖大な著作から、その議論の全体像を提示する。
序 章 毎日が新しい発見
——三角縁神獣鏡の真実
第一章 先達の銅鏡論と問題点
1 邪馬台国近畿説の支柱(三角縁神獣鏡魏鏡説)を批判する
2 従来説及び国産説の考古学的検証
3 弥生編年の問題点
4 梅原「補正」論文
第二章 古田理論の展開
1 文字の考古学——製鏡論
2 銘文の分析
3 銘文とぼう製鏡をめぐる対話
4 金石文としての銘文
5 伝世鏡理論
6 三角縁神獣鏡国産説の再展開
7 古墳の編年と鏡の編年について
8 考古学的出土品との整合
9 考古学編年について
10 鏡と倭國
11 邪馬壹国の実証
第三章 中国人による三角縁神獣鏡日本製説
1 王仲殊論文の出現
2 王仲殊論文をめぐって
3 王仲殊論文への批判
4 王仲殊論文再論
第四章 三角縁神獣鏡の史料批判
——三角縁人獣鏡論
はじめに
1 中国鏡の銘文と図様
2 日本出土鏡の銘文と図様
3 景初三年鏡
4 鏡師と鋳工の区別
5 紀年鏡再論
6 銘文と図様(まとめ)
初出一覧
あとがき
事項索引
人名索引