邪馬一国の証明

「一（壱）」と「台」の違いは何を語るか
「三部作」が巻き起こした反響、そして更なる論戦へ…
「復刊に寄せて」「復刻版解説」なども加えて復刊。

真実を語る者のみが持ちうる力強さで、読者を魅了する古田史学。いわゆる定説・公理に素朴な疑問を持ち、創見に満ちた史料の再検討で導き出された証明は、古代史研究に驚くべき地殻変動をもたらした。本書では、自らの研究方法を含めて、邪馬一国の国号や古代鏡など、『「邪馬台国」はなかった』など三部作での論証に新たな観点から検討を加え、より強固なものとする。好評の古代史コレクション第26巻。

［ここがポイント］
◎ 倭国、そして邪馬壹（一）国はどこにあったのか。
◎ 『「邪馬台国」はなかった』『失われた九州王朝』『盗まれた神話』という三部作刊行後の反響を受けた論考。
◎ 新たに「復刊に寄せて」「復刊版解説」なども加えて復刊。

復刊のご挨拶（古田光河）
復刊に寄せて（荻上紘一）
“邪馬一国のすすめ”――邪馬一国の証明
はじめに


倭国紀行
　　筑紫の真相
　　天の下の秘密
　　卑弥呼の年齢 その一
　　卑弥呼の年齢 その二
　　関東に大王あり その一
　　関東に大王あり その二
　　韓国陸行
　　陳寿反対派の証言
　　子供でも分かる謎 その一
　　子供でも分かる謎 その二
　　卑弥呼と俾弥呼 その一
　　卑弥呼と俾弥呼 その二
　　壁画古墳と石馬
　　九州王朝――卑弥呼の後裔


わたしの学問研究の方法について
　　はじめに
　　「母の国」親鸞研究
　　村岡史学への傾倒
　　『古代史疑』からのスタート
　　わたしの研究方法
　　なかほどに
　　おわりに


邪馬壹国の論理性――「邪馬台国」論者の反応について
　　問題意識の初源
　　至高文字の存在
　　たゆまぬ検証の成果
　　文字の機能と文章
　　史料に依拠するものの勁さ


「謎の四世紀」の史料批判
　　はじめに
　　『南斉書』の証言
　　「倭の五王＝九州」説の根拠
　　邪馬嘉国の問題
　　「傍国」説と史料分析
　　表意訳と表音訳
　　大胆な省略
　　『広志』の成立年代
　　結論


古代史の虚像――その骨組みを問う
　　“日出づる処の天子”の謎
　　『異称日本伝』の見事な割り切り
　　同時代史としての『隋書』　
　　“倭王武―雄略”は正しいか
　　稲荷山鉄剣銘文が語るもの
　　古墳のあり方にみる近畿と九州と関東
　　さて卑弥呼の国は？


邪馬壹国の証明
　　皇国史観の三世紀
　　国名問題
　　里数問題　　その他


古代史を妖惑した鏡
　　問題のキイ・ポイント
　　舶載と仿製
　　富岡四原則と私の公理
　　黄金塚古墳を訪れる
　　動詞の重用
　　「之」の用法
　　作者の“身元”
　　「論語・千字文伝来前」の状態
　　鋭い一つの問題提起
　　主観主義的方法との袂別
　　大きな反省を
　　在野の研究者の偉大な直観
　　鏡の再点検の重要性
　　鏡は語る


九州王朝の史料批判――藪田嘉一郎氏に答える
　　はじめに
　　「天下の孤証」について
　　史料批判と「多数決の論理」
　　「臺」は卑字か貴字か
　　魏における「臺」の用例
　　「俀」と「倭」の異同
　　『北史』と『南史』の「俀」と「倭」
　　「遂に絶つ」の主体は何か
　　藪田氏の誤解について
　　藪田氏への質問


邪馬壹国と冢
　　はじめに
　　個々の論点を駁す
　　「邪馬台国一所不住説」について
　　「径百余歩」の問題
　　おわりに


古代船は九州王朝をめざす
　　飛鳥の海流
　　航海実験の時代
　　「謎のＸ区間」の設定
　　文章読解のルール
　　「以北略載の論理」
　　瀚海と東まわり航路
　　三世紀、倭人は帆を使った
　　卑弥呼の後裔
　　軽率なルート比定
　　「其」の用法と解釈
　　「基準点が指示領域に入らない」事実
　　九州王朝――多利思北孤の国
　　九州王朝――火の山は語る
　　むすび
　　本稿後記


あとがきにかえて
初出一覧
解説にかえて　魏志倭人伝と短里――『周髀算経』の里単位（谷本　茂）
『邪馬一国の証明』復刻版解説（谷本　茂）
地名索引
事項索引
人名索引