教養の日本美術史

美術の歴史を深く知り、より良く作品を味わうために
基礎知識や時代ごとの通史だけでなく、「建築」「書」「やきもの」「浮世絵」などのジャンル史からも迫る。

本書は縄文から現代までの日本美術を扱い、時代の背景、様式の特徴などを各専門分野の研究者が詳しく論じる。時代ごとの区分に加えて、「彫刻」「書」「建築」「やきもの」「浮世絵」などジャンルごとの通史を織り交ぜ、日本美術史を立体的に浮かび上がらせる。覚えるだけでなく、考えるための入門書。


［ここがポイント］
◎ 日本美術史の流れを政治史や文学史から読み解くテキスト
◎ １冊あれば、美術館にある作品の歴史のなかの意味づけがわかる

はしがき

序　章　時代区分から見た日本美術史

第１章　縄文・弥生から奈良の日本美術
　１ 王権の誕生と祭祀の美術
　２ 飛鳥時代における仏教美術の始まり
　３ 法隆寺西院伽藍の造営と飛鳥後期の美術
　４ 平城遷都と仏教美術の爛熟
　５ 奈良時代の絵画と工芸
　６ 鑑真来朝と木彫像の成立

第２章　彫刻の日本美術
　１ 「彫刻」とは何か
　２ 彫刻表現の多様さ
　３ 信仰と造形
　４ 多様な立体表現
　５　彫刻の近現代

第３章　平安の日本美術
　１ 唐代美術の余映
　２ 和様化への道
　３ 藤原道長と「古典」の形成
　４ 院政と「古典」の継承

第４章　鎌倉から室町の日本美術
　１ 多元化する美術
　２ 宗教美術の新展開
　３ 肖像画の時代
　４ 分断の14世紀
　５ 再統合の15世紀

第５章　水墨画の日本美術
　１ 中国水墨画の日本的受容
　２ 狩野派・琳派ほかの水墨表現
　３ 江戸時代後期の各派の水墨表現
　４ 近現代、水墨の変容

第６章　建築の日本美術
　１ 二つの系譜
　２ 和様建築の誕生
　３ 戦乱が生み出したもの
　４ 日本建築の完成
　５ 様式主義の建築
　６ 近代の日本表現

第７章　書の日本美術
　１ 漢字の受容と書の美意識
　２ 三筆と三跡
　３ 貴族文化と仮名
　４ 書流の形成
　５ 戦乱の終焉と表現の開花
　６ 近代から現代へ
　７ 破格の表現

第８章　戦国から江戸中期の日本美術
　１ 戦国期の絵師たち
　２ 天下人と桃山美術
　３ 新しい秩序と美

第９章　やまと絵の日本美術
　１ 唐絵とやまと絵
　２ 女絵系物語絵と天皇家の絵巻制作
　３ 天皇家・将軍家の絵巻制作と土佐派
　４ 土佐派・住吉派・琳派・復古大和絵派
　５ 日本画家の古画学習

第10章　やきものの日本美術
　１ 土器の系譜
　２ 陶　器
　３ 変貌する桃山の陶磁
　４ 江戸時代の陶磁器

第11章　江戸後期から幕末の日本美術
　１ 18世紀の新しい潮流
　２ 南　画
　３ 上方の個性
　４ 近代の胎動
　５ 江戸の洋風表現
　６ 19世紀のデザイン感覚と幕末の動向

第12章　浮世絵の日本美術
　１ 浮世絵とは何か
　２ 美人画がつくるアイドル文化
　３ 役者絵とブロマイド
　４ 名所絵と江戸の暮らし
　５ 「海を渡った」浮世絵

第13章　近代の日本美術
　１ 西洋の衝撃
　２ 「美術」の創造
　３ 美術団体と自己表現
　４ 近代美術の成熟

第14章　現代の日本美術
　１ 問われる美術の価値
　２ 戦う美術
　３ 美術の再生に向けて
　４ 拡散する現代美術
　５ 美術への自問

日本美術史関連年表
図版一覧
人名・事項索引

コラム
　Ⅰ 正倉院宝物
　Ⅱ 金工の日本美術
　Ⅲ 染織の日本美術
　Ⅳ 漆工芸の日本美術