文身 デザインされた聖のかたち 表象の身体と表現の歴史
表象と身体、言語の「汽水域」における画期的な考察。
現代を分析し続ける「スティグマの正体」。
「身体」は、もっと自由になれる。
茂木健一郎(脳科学者)
文身行為は神聖かスティグマか――。日本では、日本人の祖が、文身行為をしていた痕跡や、それに対する言説は、時代性のもとに歪められて記録された。本書では、古代の身体、そのかたちを古代神徽の図像との関係から読み解くことで、今まで見えてこなかった「意味とかたちの関係」と共に、当時の人々の「世界観」を復元する。そのような歪みを、質し、直してゆくことで、偏った眼差しや態度が、徐々に改められてゆく。
[ここがポイント]
◎ イレズミの文化誌。
◎ 文献資料や図像を丁寧に読み解きながら実証を重ねた
Ⅰ 表象の身体——近代と身体
1 美と表象——表現された身体
2 人間の価値——身体へのまなざし
3 人間のデザイン——そこにある世界
4 神霊(かみ)の文身
5 烙印(スティグマ)の身体
Ⅱ 日本と古代の文身
1 「いれずみ」という言葉
2 記紀の間にあるかたち
3 割(さく)文身
4 「奇(あや)し」の身体
5 血の呪飾
6 傾きへのまなざし——書き換えられる身体
7 結界の身体——直弧文と文身
8 東夷の表象——蛟龍の文身
9 点面文身——『魏志倭人伝』の本来の姿
10 「鯨面」と「黥面」——見えている姿の違い
11 倭人文身と饕餮(とうてつ)文の文化
12 弧帯文の文身
13 日本神話と龍と文身
14 縄文・土偶・アイヌ——日本の古代とその文身
記紀文身資料集