複雑に入り組んだ7世紀の地中海世界の変化を地中海を東西に奔走した皇帝の生涯から解き明かす
著者 |
小林 功 著
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ジャンル |
世界史
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シリーズ |
世界史 > MINERVA 西洋史ライブラリー 114
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出版年月日 |
2020年01月20日
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ISBN |
9784623087693 |
判型・ページ数 |
A5・372ページ |
定価 |
定価7,150円(本体6,500円+税) |
在庫 |
在庫あり |
7世紀に勃興したイスラーム文明・アラブ国家にビザンツ帝国はいかに対峙したのか。これまで十分に説明されることのなかった中世の地中海世界の新たな歴史像を本書は提示する。7世紀中盤のコンスタンス2世時代を中心に、ビザンツ帝国や地中海世界の変化に対して、政治的・軍事的な状況だけでなく、イスラームをふくむ総合的な観点からの分析を試みる。
[ここがポイント]
◎ 最新の研究成果を踏まえた新たな7世紀の地中海世界像を提示する
◎ 新たな文明の勃興に直面した地中海世界とビザンツ帝国の変化を解き明かす
凡 例
関係地図
ヘラクレイオス、コンスタンス2世関係系図
付 表 皇帝・カリフ等の在位年
序 章 研究史と問題設定
第1章 神の怒りを引き起こした皇帝
1 「ヘラクレイオス的」方策からの転換
2 政府内の対立
3 マルティナ、ヘラクレイオスと教会
第2章 641年=「四皇帝の年」の混乱
1 帝位継承をめぐる対立
2 コンスタンティノス3世、マルティナと教会
3 コンスタンス2世の登場
4 エジプトとローマ
第3章 維持される強硬路線
1 「無人地域」の形成?
2 アラブとの戦いと小アジア
3 奇妙な均衡
第4章 最初のコンスタンティノープル攻撃(654年)
1 放棄される強硬路線
2 654年の攻撃
3 「マストの戦い」をめぐって
第5章 コンスタンス2世のシチリア進出
1 西方に向かうまでのコンスタンス2世
2 コンスタンス2世とイタリア、シチリア
3 2つの宮廷──シュラクサとコンスタンティノープル
第6章 「神が振り下ろした一撃」
1 アラブ軍の展開と戦略
2 ビザンツ帝国の対応
3 654年の「勝利」の影響
第7章 守勢から攻勢へ
1 第2回コンスタンティノープル攻撃──資料の再検討
2 670年代の状況──ビザンツ帝国の反撃
3 ビザンツ艦隊の反撃
第8章 コンスタンス2世の暗殺をめぐって
1 コンスタンス2世の暗殺
2 コンスタンティノス4世のシチリア遠征
第9章 ローマ帝国の「後継者」になること
1 「サラケノイ」へのまなざし
2 認識の変化
3 神に守られる帝国、神に守られる皇帝
4 ムアーウィヤと「ローマ帝国」
終 章 7世紀中盤とはどのような時代だったのか
1 沈みゆくローマ帝国
2 「周縁部」の状況変化
3 「ビザンツ帝国」の誕生
補論1 ヘラクレイオス・コンスタンス2世の一族
補論2 ゲニコス・コンメルキアリオス
1 ゲニコス・コンメルキアリオスの成立と任務
2 ゲニコス・コンメルキアリオスからバシリカ・コンメルキアへ
補論3 オプシキオンの起源をめぐる議論
補論4 コンスタンス2世の没年をめぐって
文献目録
あとがき
索 引