マンパワー(manpower)という言葉は「人的能力」とも「人材」とも訳される。この言葉は、19世紀には馬力(ホースパワー)などと対比して人間の筋力を指し示すものとして使われていたのが、20世紀になると大規模な法人企業によって期待される人間像を意味する言葉として用いられた。本書は、労資関係の展開という視角から、ほぼ1841年から1915年にかけてのアメリカ合衆国における技能養成の歴史を考察する。主な舞台は「工作機械製造の中心地」マサチューセッツ州ウースターである。この事例研究をつうじて、「マンパワー」とは、19世紀の経営イデオロギーを支えた「メカニック」が解体したあとに登場した、いわば20世紀の人間像なのだ、ということを明らかにしたい。
はしがき図表一覧/凡例/略語序章 本書の課題と構成 1 メカニック教育 コモンウェルスの心臓部メカニック協会プロテスタント同盟世代的再生産 2 工学教育メンデンホール改革テイラーと工学教育「マン・パワー」の発生 3 職業教育運動機械工国際組合の攻勢ダグラス委員会フィッチバーグ・プラン公立トレイド・スクール産業教育促進全国協会終 総括と展望章注あとがき人名・事項索引