早川一光の「こんなはずじゃなかった」 わらじ医者からの最期のメッセージ
[ここがポイント]
◎ 2018年度日本医学ジャーナリスト協会賞大賞、2019年坂田記念ジャーナリズム賞受賞の京都新聞紙上の好評連載、待望の書籍化。
◎ 実の娘ならではの聞き書きおよびエッセイにより、早川一光氏の自然な語りを再現、往時の様子をいきいきと描く。
◎高見国生(「認知症の人と家族の会」顧問)氏推薦!
第Ⅰ部 父のつぶやき「こんなはずじゃなかった」
第一章 医者から患者へ(京都新聞掲載:2016年1月14日~3月31日)
診るほうから診られる側に
堂々とおむつしたらええんや
僕にしか見えない
幻も僕の五感のなせる業
携帯電話を握りしめ
衰弱やない、老いは円熟や
衰えと上手につきあう
「その痛みわかるで」という医療
「食べたい」という気力が大事
残っているほうの力を見ようね
一人きりになったらあかんで
どんな着地をしようかな
第二章 父の「畳の上の養生」(京都新聞掲載:2016年6月9日~9月15日)
養生ってエネルギーいりますな
かゆいところに手が届く
手が届かないところがかゆい
患者さんはよう知ってるなあ
訪問入浴のあとに勉強会
笑う門には、ぼけは来ん
とろとろ、うつらうつら
長寿は戦争しなかったから
路傍の神のような医者が理想
ええやん、物忘れしても
医の心を教わった父の言葉
「畳の上で養生」は天国なんやろか
第三章 医療・介護のあるべき姿(京都新聞掲載:2016年一2月1日~2017年3月16日)
僕がしてきたこと何やったんやろ
これが訪問入浴の始まり
「また来るしな」
「迷医」が名医
三回目の入院で考えたこと
病気を診て病人を診ず
医療の方が出向いた西陣
医者の傲慢、坊主の怠慢
僕の糸脈
あの誤診を忘れまい
熟すように老いたい
受容してわかったこと
第四章 一緒に考えまひょ(京都新聞掲載:2017年8月10日~11月16日)
人と人の間をみたい
正しい戦争なんかない
間合いを読む心の温かさ
「ぼけ」は隠さんでええんやで
僕の「花道」は僕の家にある
いのちのブレーキどこで踏む
穏やかな死を迎えられるやろか
生きるために迷う
講演が僕のリハビリ
戦争を知る世代だからこそ
部分でなく全体を見なあかん
三途の川には渡守がおらんと
第五章 ほな、いくな(京都新聞掲載:2019年4月5日~7月19日)
しんどいでもまだ死ねへん
最後の一本道どう通るんやろ
ふりかえったら地域医療やった
「いきいき」は行き来や
生きている限り虹を追いかけたい
ほな、いくな
第六章 父の「畳の上の往生」
お便りをありがとうございました
父の「畳の上の往生」
第Ⅱ部 父の背中
葬式、どうする?
仏壇の代わりに
樹木葬
初めての入院
鈴ふりがやってくる
ちんちん千鳥の啼く夜は
介護保険との出会い
介護保険に物申す
最高の痛がり
一人で入れるで
「歳だから」病
眼科めぐり珍道中
父だけに見えるもの
ガマの油
半歩でもの会
往 診
父の小道具
ヘビースモーカー
父と麻雀
治療か延命か
家族にとっての「治療」
家族の迷い
最期の息
父の飛び六方
おわりに