電報や公信などの公文書の内容、そして意思決定過程とは… 近代日本の外交史をより深く知るために必携の道案内。
著者 |
熊本 史雄 著
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ジャンル |
日本史 政治・法律
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シリーズ |
日本史 > 史料で読み解く日本史 3
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出版年月日 |
2020年02月28日
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ISBN |
9784623087891 |
判型・ページ数 |
A5・416ページ |
定価 |
定価5,500円(本体5,000円+税) |
在庫 |
在庫あり |
急激に近代化する大日本帝国にあって、外交官たちはいかなる外交を展開したか。それを知るための一級史料である「外務省外交史料館所蔵記録」とはいかなるものか。本書では、外交史料館に伝来した膨大な記録の全貌と構造を明らかにしたうえで、公文書利用と歴史研究の関係をも整理し、本格的な史料読解のための手掛かりを提供する。近代日本の政治外交史をより深く知ろうとする人には必携の一冊である。
[ここがポイント]
◎ 膨大に保存されている外務省外交史料館所蔵記録の全貌と構造を紹介する。
◎ いまだ確立されていない近代外交史料の読解法を提示する。
はしがき
序 章 近代日本の外交史料への招待——公文書を“読む”とは
第Ⅰ部 外交文書の概要を知る ——公文書のなかの外交文書
第1章 「外務省記録」とは
1 文書と記録と史料
2 公文書とは
3 「外務省記録」の位置
4 分類項目の変遷とファイルの形態
5 「外務省記録」から外交史料へ
第2章 電報の読み方
1 電報に記載された情報を読み取る
2 電報の特徴と様式
3 来電の読み方
4 往電の読み方
5 電報に記載される多義的な情報
第3章 公信の読み方
1 公信に記載された情報を読み取る
2 公信の特徴と様式
3 来信の読み方
4 往信の読み方
5 公信に記載される多義的な情報
第4章 原文書と編纂史料とデジタルアーカイブズ
1 史料の特性を考える
2 原文書の特性
3 編纂史料の特性
4 デジタルアーカイブズの特性
5 史料の特性に応じた利用のあり方
6 歴史家の「巣作り」と史料
第Ⅱ部 記録の構造変化に即して“読む”——記録秩序論
第5章 分類規程の改編と記録秩序の変化
1 記録秩序に注目する意義
2 「外務省記録」の形成・蓄積・編纂
3 政務局時代の記録管理
4 明治末期から大正期の記録整理事業
5 「八門式」の導入と地域概念
6 亜細亜局・欧米局の設置と記録秩序
7 「新外交」課題への対応と「八門式」
8 記録秩序の変化とその動因
第6章 記録の移管にみる政策対応の変化
1 記録の移管に注目する意義
2 文化事業部の設置
3 文化事業部関係記録の移管と事務分界
4 興亜院の設置
5 政策対応の変化
6 記録の移管が照射する世界
第7章 原秩序の復元からみる「外務省記録」のなかの拓務省文書
1 原秩序を復元する意義
2 「茗荷谷記録」の伝来と構造
3 拓務省文書の形成過程
4 拓務省文書の原秩序
5 意思決定過程と拓殖事業
6 戦後処理業務にみる記録の“現用的価値”
7 「外務省記録」における拓務省文書の位置
第Ⅲ部 文書の処理に即して“読む”——組織制度論・政策論
第8章 文書回付からみる参事官制度
1 文書回付に注目する意義
2 参事官会議の「復興」
3 参事官会議の運用
4 参事官への文書回付
5 参事官制度の機能
6 文書回付と組織の機能
第9章 「写」供与の変化にみる政策対応の変化
1 「写」供与の変化に注目する意義
2 新四国借款団設置問題の情報共有
3 「写」供与の変化
4 「写」供与のさらなる変化
5 組織的対応とリーダーシップを浮かび上がらせる
第10章 〈亜細亜局保管文書〉の再現にみる組織の機能
1 〈亜細亜局保管文書〉を再現する意義
2 〈亜細亜局保管文書〉の概念
3 〈亜細亜局保管文書〉の特定
4 〈亜細亜局保管文書〉の特徴
5 〈亜細亜局保管文書〉にみる亜細亜局の機能
第11章 〈文化事業部保管文書〉の再現にみる文化外交像
1 〈文化事業部保管文書〉を再現する意義
2 〈文化事業部保管文書〉の形成
3 文書処理過程から浮かび上がる文化外交像
4 文化事業の非政治性と独立性
5 〈文化事業部保管文書〉からみる文化外交
終 章 歴史研究への応用 ——「近代史料学」の構築へ向けて
1 史料学の潮流
2 歴史研究に取り入れる
あとがき
資料1 「拓務省文書編纂及出納手続」(昭和一一年四月一日、拓務省訓令第四号)第六条掲出別表「文書編纂要項」
資料2 外務省管理局各課から文書課への引継目録
資料3 参事官会議議事一覧
資料4 外務省文書管理規程関連年表
事項索引
人名索引