教育機会の不平等が生じる日本的文脈とは。OECDのPISAデータを分析し 比較社会学的な観点から「分厚く」説明する
著者 |
多喜 弘文 著
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ジャンル |
教育 社会
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シリーズ |
社会 > MINERVA 社会学叢書 58
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出版年月日 |
2020年02月20日
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ISBN |
9784623070336 |
判型・ページ数 |
A5・280ページ |
定価 |
定価5,500円(本体5,000円+税) |
在庫 |
在庫あり |
本書は、教育機会の不平等がなぜ生じるのかについて、比較社会学の立場から文脈を考慮した分厚い説明を与えることを目指す。
欧米由来の理論的説明に対し、日本的文脈のもとでの不平等生成メカニズムを理論的に関連づけ、OECDのPISAデータを用いた計量的比較分析によって、その仮説の妥当性を実証的に検証する。
またドイツとアメリカを対比してきた同分野の研究枠組みに、教育の不平等を捉えるうえでの新たな視点を提供する。
[ここがポイント]
◎ 比較社会学により日本の教育システムを説明するユニークな試み
◎ リアリティのあるモデルを用いた分厚い説明
はじめに
序 章 教育の不平等の日本的特徴をどうとらえるか
1 教育の不平等とは何か
2 なぜ教育の不平等は持続するのか
3 比較社会学的検討の意義
4 これまでの比較研究における問題点
5 本書の課題と構成
第Ⅰ部 理論枠組み
第1章 教育の不平等と社会的文脈に関する理論的整理
1 葛藤理論の理論枠組みと実証研究
2 文化的再生産論の理論枠組みと実証研究
3 既存の理論的説明の日本社会への適用可能性
4 努力の階層差仮説の理論的意義
第2章 比較のための制度的コンテクストの検討
1 中等教育段階における教育制度の類型
2 ドイツとアメリカの中等教育の制度的文脈
3 ミュラーとシャビットの3つの指標
4 日本の中等教育段階における制度的文脈
第3章 実証分析の枠組み
1 制度的文脈の違いはどのように検討できるか
2 学校トラックという概念装置
3 実証分析における2つの課題
4 課題検討の手順
第Ⅱ部 実証分析
第4章 日本における学校トラックと階層化
1 日本における学校トラック
2 PISAデータと分析モデルの説明
3 学校トラックと主要変数の関連
4 社会階層と学力の関連構造
第5章 日本における学校トラックと将来イメージ
1 将来イメージに関する先行研究
2 使用変数と分析モデル
3 進学期待を従属変数とした分析
4 職業期待を従属変数とした分析
第6章 学校トラックによる階層化の国際比較
1 教育制度の類型と先行研究
2 使用変数と分析モデル
3 社会階層と学力の関連と学校による媒介
4 分析課題①の検証結果
第7章 学校トラックと将来イメージの国際比較
1 独米日の将来イメージと先行研究
2 進学期待・職業期待に対する学校トラックの効果の仮説
3 各国における学校トラックの定義
4 将来イメージと制度的文脈の分析
5 分析課題②の検証結果
終 章 他国との比較にみる日本の学校教育と不平等
1 教育の不平等生成における日本的文脈
2 教育の不平等生成に関する比較社会学的説明
3 本書の理論的インプリケーション
4 今後の展開に向けて
参考文献
初出一覧
あとがき
人名・事項索引