徴集され戦地に送られ亡くなったのは誰か。過去の社会調査データを読み直すことで、戦時期日本の社会趨勢を析出する試み。
著者 |
渡邊 勉 著
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ジャンル |
社会
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シリーズ |
社会 > MINERVA 社会学叢書 59
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出版年月日 |
2020年03月31日
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ISBN |
9784623088638 |
判型・ページ数 |
A5・352ページ |
定価 |
定価7,150円(本体6,500円+税) |
在庫 |
在庫あり |
戦争は万人の身に等しくふりかかる事態なのだろうか。本書は「SSM調査」および「職業移動と経歴調査」という戦後に行われた社会調査データより戦中から戦後にかけての人々の経歴を切れ目なくとりだすことで、アジア・太平洋戦争によって引き起こされた人々の日常生活や職業生活の変化とその社会的な不平等を計量分析によって明らかにする。
[ここがポイント]
◎ SSM調査データを用いて戦争を計量の手法で分析する
◎ マクロな戦争体験を描出する
序 章 戦争の計量歴史社会学とは
1 本書の目的
2 研究の背景
3 戦争の社会的影響
4 本書の構成
第1章 世代による徴兵の不平等
1 徴兵されるということ
2 兵役という制度
3 兵士になることの不平等
4 兵士の動員
5 徴兵と世代
第2章 学歴・職業による徴兵の不平等
1 誰が兵士になるのか
2 徴兵における不平等
3 結論
第3章 徴兵と職業経歴
1 徴兵経験者にとっての職業経歴
2 徴兵経験者の職業分布
3 徴兵前後の職業の変化
4 徴兵経験者と未経験者の違い
5 結論
補論 徴兵経験者と徴兵未経験者の戦後の自営、農業への就業
第4章 死亡リスクの不平等
1 アジア・太平洋戦争における犠牲者
2 1965年SSM調査の兄弟データの特徴
3 死亡率の分析
4 戦時中の死亡リスクの不平等
5 結論
第5章 生活水準の不平等──階層帰属意識からみる生活水準の変化
1 戦争がもたらす生活水準の不平等
2 1930─50年代の日本社会
3 階層帰属意識分布の変化
4 階層帰属意識の規定因の変化
5 階層帰属意識の変化
6 結論
第6章 戦前・戦中・戦後の地域移動と地域間格差
1 地域移動の時代変化
2 地域移動率の時代変化
3 人口分布の時代変化
4 地域間移動
5 地域移動の時代差
6 結論
第7章 職歴からみる地域移動と職業間格差
1 職業と地域移動
2 職業別地域移動率からみる不安定性
3 職業と地域
4 地域移動からみる階層間格差
5 結論
第8章 徴兵・外地経験と地域移動
1 戦後の外地からの復員・引揚
2 徴兵経験者の地域移動
3 外地経験者の地域移動
4 徴兵経験・外地経験の戦後地域移動への影響
5 結論
第9章 職業軍人の退官後の職業経歴
1 職業軍人の戦後
2 職業軍人への道
3 職業軍人の退官後の職業
4 職業軍人の属性
5 退官後の職業経歴の特徴
6 終戦後10年間の職業経歴比較
7 結論
終 章 戦争負担の不平等
1 戦争と平等化
2 戦争と不平等
3 計量研究の可能性と課題
参考文献
あとがき
索 引