手塚治虫は「ジャングル大帝」にどんな思いを込めたのか 「ストーリーマンガ」の展開
[ここがポイント]
◎ 現在のマンガ(長編マンガ)の起源として手塚治虫の「ジャングル大帝」を捉える。
◎ 著者、マンガ研究、手塚治虫研究40年の集大成。
第一章 中央の雑誌へのデビュー
1 「ジャングル大帝」を取り巻く環境
2 『新宝島』で赤本マンガの世界に
3 『漫画少年』への連載のいきさつ
4 『漫画研究』という冊子の性格
5 「単行本と雑誌の漫画」の内容
第二章 〈動物三部作〉のひとつとして
1 〈SF三部作〉との対応関係
2 「ジャングル大帝」と「ロスト・ワールド」の関連
第三章 「バンビ」の公開や映画からの刺激
1 映画「密林の王者」との関わり
2 「バンビ」からの影響
3 映画「エベレスト征服」との関係
4 絵物語の影響と絵の記号性
第四章 赤本マンガでの構想
1 赤本マンガとしての初期構想
2 初期の創作ノートに注目
3 ノート16の「ジャングル大帝」
4 C・ウエルズによる探検記からの刺激
第五章 『漫画少年』で連載がスタート
1 連載「ジャングル大帝」の初回
2 構想ノートとの比較
3 カラーの表紙――連載二回めの推敲の跡
4 脚本をもとにコマ割を――連載三回めの草稿と連載作品
5 神秘の山ムーン山とレオの名――連載四回めの推敲のありさま
第六章 学童社版単行本への意気込み
1 叙情味の演出と心理描写――初の単行本化、学童社版
2 恋愛感情とムーン山の謎――光文社版単行本(全四巻)への再編
第七章 小学館版、初めての完結
1 初期型を温存――小学館版単行本の刊行
2 紛失した原稿をトレスして――光文社版から小学館版へ
3 のちの定本に――文民社版単行本への再構成
4 二十二章に細分――全体の構成の明確化
第八章 「ジャングル大帝」と大陸移動説
1 「ジャングル大帝」の枠組み
2 手塚治虫と大陸移動説
3 手塚が接した可能性のある本
第九章 「ストーリーマンガ」の概念と悲劇的要素
1 手塚が考えたストーリーマンガとは
2 「ストーリーマンガ」という用語の起源
3 子どもマンガの悲劇的要素
あとがき
人名・事項索引