アメラジアンというカテゴリーの成り立ちと社会的事象としての展開を考察。アメラジアンをめぐる研究を整理し、到達点と課題を示す
著者 |
野入 直美 著
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ジャンル |
社会
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シリーズ |
社会 > MINERVA 社会学叢書 62
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出版年月日 |
2022年03月20日
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ISBN |
9784623093236 |
判型・ページ数 |
A5・372ページ |
定価 |
定価9,350円(本体8,500円+税) |
在庫 |
在庫あり |
沖縄のアメラジアンを中心に、「アメラジアン」というカテゴリーがどのように成り立ち、社会的事象として展開してきたのか、またアメラジアンを育ててきた母親とアメラジアンの若者たちが、現代の社会においてどのような経験をしてきたのかを、ライフヒストリー調査とアクション・リサーチによって明らかにする。また、アメラジアンをめぐる研究が、どのような着眼と方法によって行われ、そこで何が、どこまで明らかにされてきたのかを整理し、到達点と課題を示す。
[ここがポイント]
◎ アメラジアンを育ててきた母親とアメラジアンの若者へのライフヒストリー調査
◎ アメラジアンスクールにおけるアクション・リサーチ
はじめに
初出一覧
序 章 アメリカが「アメラジアン」を見出す
1 研究の目的と方法
2 アメリカ・韓国・フィリピンにおける「アメラジアン」
3 日本におけるアメラジアン研究
第Ⅰ部 「現場」としてのアメラジアンスクール
第1章 アメラジアンとかかわる
1 アクション・リサーチの定義と展開
2 アメラジアンスクールにおける私のアクション・リサーチ
3 小 括
第2章 アメラジアンスクールが立ちあがる
1 「アメラジアン」の沖縄的展開
2 アメラジアンスクールの設立経緯
3 就学先不明――沖縄県による重国籍児等就学実態調査
4 外国人の子どもの「不就学」問題
第3章 アメラジアンスクールに通う
1 生徒たちの背景
2 生徒の移動と編入学・転出
3 編入生のケース・スタディ
4 在校生・卒業生のいじめ調査
5 アメラジアンスクール卒業生の進路とキャリア
第4章 アメラジアンがアメラジアンを撮る
1 当事者による映像表象の研究
2 ブラジル人学校との比較
3 アメラジアンのドラマ“Double’s World”の批判的分析
4 小 括
第5章 アメラジアンを教える
1 アメラジアンスクールのカリキュラム
2 「出席扱い」をめぐる公教育との交渉
第Ⅱ部 現代社会とアメラジアン
第6章 教育支援からとりこぼされる「ダブル」の子どもたち
1 「ダブル」は支援ニーズの有無さえ問われない
2 「多文化多言語環境に育つ子ども」という類型
3 増加する外国人労働者とアメラジアン
第7章 アメラジアンの子どもを育てる
1 母親のライフヒストリー
2 分析と考察
第8章 アメラジアンが大人になる
1 アメラジアンスクール卒業生のケース・スタディ
2 フェンスの中のアメラジアン――沖縄の米軍基地内で学び働く青年の経験
3 ハワイのアメラジアン――沖縄とサモアのルーツを生きるきょうだいの経験
4 分析と考察
第9章 映像の中にアメラジアンがいる
1 報道,映画とお笑い
2 ニュース特集における「基地の落とし子」という表象――筑紫哲也NEWS23(TBSテレビ)「もうひとつの沖縄の現実――アメラジアン」(1998)
3 ドキュメンタリー映画における「ダブル」の“肯定的な”表象――レジー・ライフ監督“DOUBLES : Japan and America’s Intercultural children”(邦題:ダブルズ――日米二つの文化を生きる)(1995)
4 コントの舞台における「島ハーフ芸人」の“自虐”ギャグ――「抱腹絶倒!沖縄ランド」沖縄お笑い芸人FEC「お笑い米軍基地7」(2011)
第Ⅲ部 沖縄における「混血児調査」の歴史
第10章 米軍統治下で「混血児」が調べられる
1 「混血児調査」を問う視点
2 調査以前――「混血児」の出生と性暴力の言説
3 1955年「混血児調査」
4 1961年「混血児調査」
第11章 本土復帰後に「混血児」が調べられる
1 1975年「混血児調査」
2 1970年代における「混血児」「国際児」をめぐる文脈
3 小 括――もうひとつの本土復帰
結 論 〈アメラジアン〉から発見する
1 マイノリティと「自己責任」
2 〈アメラジアン〉の時空間
3 〈アメラジアン〉によって見いだされたこと
4 「混血」と「ダブル」
5 エスニシティと「ダブル」
6 結 語――移動と「ダブル」の社会学的研究
資 料
謝 辞
おわりに
参考文献
索 引