拡張的学習と教育イノベーション 活動理論との対話
[ここがポイント]
◎ 拡張的学習理論を学校教育の具体的な実践と教育イノベーションに真正面から応用する。
◎ 学校現場における新たな教育実践と学習活動の創造を現実的に提案する。
Part 1 イントロダクション
第1章 活動理論と拡張的学習理論による教育イノベーションの探究(山住勝広)
1 学校教育の研究と実践の新たな枠組みとしての活動理論と拡張的学習理論
2 拡張的学習のサイクルを通した集団生活の協働創造
3 学びの矛盾から使用価値の再発見と拡張へ
第2章 教育イノベーションへの拡張的学習と形成的介入のアプローチ――協働的で変革的なエージェンシーの形成へ(山住勝広)
1 形成的介入の方法論と私たち自身による協働の介入――変革的エージェンシーの形成
2 拡張的学習としての教育イノベーション――上からの善意の改革を超えて
3 学校の活動システム形成への教師自身による協働的介入の事例分析
Part 2 拡張的学習の創造と新たな学校づくり
第3章 総合的な学習の時間の矛盾と拡張可能性――教育目標達成のジレンマからの解放(冨澤美千子)
1 総合的な学習の時間の矛盾
2 学習指導要領一般編(試案)における教科「自由研究」の廃止をめぐる問題
3 教科書のない学習としての総合的な学習の時間の拡張可能性
第4章 ノットワーキングで実現する社会に開かれた学校づくり――総合的な学習の時間の活用(白數哲久)
1 教育における動機の重要性
2 昭和小学校における学校変革の分析
3 教師と子どもによるエージェンシーの獲得
第5章 工業教育における「探究」の可能性――拡張的学習への扉を開く(伊藤大輔)
1 バーンスティンの言語コード理論
2 戦後中等教育改革の挫折
3 課題研究の意義と探究の可能性
4 拡張的学習を導く探究とは
第6章 創造的音楽活動と学校改革――特別支援学級のオーケストレーション(根津知佳子)
1 アートによる教育の可能性
2 学校改革と創造的音楽活動
3 《かえるの合唱》におけるオーケストレーション
4 集団的即興ゲームとしての「創造的音楽活動」と学校改革
第7章 高校生のアートをつくる授業に媒介されて――高校生の日常(いま・ここ)からアートをつくる(浅野吉英)
1 高等学校の美術の状況
2 実践が行われる・物理的環境・心理的環境
3 拡張的学習と美術教育
Part 3 教師・保育者の拡張的学習
第8章 教師の「拡張的学習」が引き起こす「カリキュラム意識」の生成――創造的な「教える」という営みを支える原理の解明(畠山 大)
1 教師の意図と「カリキュラム意識」
2 仲本正夫の教育実践と「カリキュラム意識」
3 鳥山敏子の教育実践と「カリキュラム意識」
4 「カリキュラム意識」概念の拡張へ
第9章 拡張的学習の場を準備する「保育記録研究交流会」(山田直之)
1 保育記録研究交流会の発足
2 保育記録研究交流会の準備過程で生じた葛藤と気づき
3 第一回保育記録研究交流会――解決策としての「個人」
4 第二回保育記録研究交流会――問題としての「個人」
5 保育記録研究交流会の研究方法論と直面する課題
6 エージェンシーの委譲を実現する「希望」の提示
人名索引/事項索引