柏木義円 徹底して弱さの上に立つ
群馬県安中教会の牧師として終生を地域伝道に尽くしながら、廃娼運動・足尾銅山鉱毒事件・朝鮮伝道など、言論弾圧に対してキリスト者の立場から広く社会問題に批判を繰り広げた。キリスト教の正統的理解による考えや、周囲の人々との関係性、女性論、非戦論など様々な視点から、真摯な信仰実践者の思想と人生を描き出す。
[ここがポイント]
◎ 近代の実践的キリスト者、柏木義円の思想と生涯を最新の研究に基づいて紹介。
◎ 柏木がおこなった非戦論、朝鮮伝道批判、女性論などの主張が、どういった宗教観に根差したものなのか深く考察。
第一章 幼少年期の柏木義円
1 揺籃期の家族
2 紫衣に大小の腕白坊主
第二章 青少年期の教育
1 学びとの出会い
2 就職と同志社人脈
3 同志社再入学
第三章 熊本英学校不敬事件
1 事件のはじまり
2 井上哲次郎との論争
3 平瀬かや子との結婚
4 同志社の内紛
第四章 地域のなかへ
1 安中教会
2 廃娼論と一夫一婦制
第五章 主戦論から非戦論へ
1 非戦論への転換
2 家庭の十字架
3 地方と政治
第六章 信仰の自由
1 神社参拝問題
2 明治の終焉
第七章 朝鮮伝道問題
1 一九一三~一九一四年
2 一九一五~一九一七年
3 キリストの福音は二ある可らず
第八章 非戦の思想と日本の岐路
1 第一次世界大戦後の日本キリスト教界
2 「君主国体と民主々義」をめぐって
3 三・一独立運動と朝鮮伝道の終息
第九章 ワシントン会議後の思想の変遷
1 「殺す勿れ」
2 朝鮮への旅と新島襄伝
3 宗教法案批判
第十章 新しい時代をめざして
1 若者たちの活動
2 安中教会の胎動
3 柏木の女性論
4 柏木の維新分析
5 柏木は新島伝をなぜ書かなかったのか
第十一章 『月報』の危機と柏木の最晩年
1 『月報』の危機
2 柏木の最晩年
第十二章 ファシズムへの抵抗
1 朝河貫一
2 朝河貫一の思想と柏木義円
参考文献
あとがき
柏木義円年譜
人名索引