老いとこころのケア 老年行動科学入門
高齢者の行動の背景にあるこころを理解し、ケアするために
介護保険制度が導入され、介護の社会化が進む中で、高齢者の行動の背景にあるこころの理解とそれにもとづくケアの重要性が認識されるようになっています。本書はこのような時代の要請をふまえ、さまざまな立場で介護の実践にかかわる人たちに役立ててもらうために、多くの事例検討や研究の成果にもとづいて書かれた「老いとこころのケア」の入門書です。
第Ⅰ部 高齢者のこころの理解とケア
第1章 高齢者のこころの理解
1)はじめに
2)人の気持ちは,わかるか?
3)推測するために,必要なもの
4) 「推測する」=「仮説を作る」ことの意味(その1):仮説の根拠と柔軟性
5) 「推測する」=「仮説を作る」ことの意味(その2):仮説がもたらすもの
6)気持ちの理解(その1):鈴木さんの気持ちの推測
7)気持ちの理解(その2):鈴木さんの気持ちの分析
第2章 認知症高齢者の行動の心理的理解
1)認知症,その行動とこころの理解
2)対応のポイントと介護者の人間観
3)事例による理解
第3章 高齢者施設におけるケア
1)高齢者施設を利用する高齢者の心理
2)施設ケアと生活上の諸課題
3)介護職員のストレス
4)事例紹介
第4章 高齢者への心理療法
1)高齢者が体験している「老い」
2)アクティビティケア
3)作業療法
4)音楽療法
5)園芸療法
6)回想法
第5章 家族介護者の理解
1)家族を介護する
2)介護を楽にする方法を考える
第6章 アセスメントによる高齢者の理解
1)アセスメントとは
2)統制された場面で実施するアセスメント
3)日常生活場面で実施するアセスメント
4)まとめ
第Ⅱ部 老年行動科学の基礎
第7章 老いの生活への適応過程
1)老年期における心身の変化
2)高齢者の性格と適応
3)老年期への適応に関する心理・社会的理論
4)人の生涯と適応
5)超高齢期を生きることの意味
第8章 高齢者と生きがい
1)超高齢社会の実態
2)高齢者と社会参加活動
3)高齢者のボランティア活動
4)高齢者の生きがい
5)高齢期のQOL
第9章 高齢者はどうみられているか
1)社会は高齢者をどのように位置付けているか
2)個人は高齢者をどうみているか――イメージ
3)老いを語ることの難しさ
第10章 老いと疾病
1)臓器に現れる老化と老年期疾患
2)老年症候群と廃用症候群
3)老年期の精神障害
索 引