帝国の長い影 20世紀国際秩序の変容

はしがき

　第Ⅰ部　帝国と国際秩序
第１章　液状化する帝国史研究
　　　　－―非公式帝国論の射程（半澤朝彦）
　はじめに
　1）帝国史研究と国際関係のモデル
　2）「帝国の発見」と非公式帝国論
　3）欧米の研究動向と日本の国際関係史研究
　4）イギリスとアメリカのパワーの比較と関係
　おわりに

第２章　範型としての英帝国
　　　　－―近代日本の国際秩序論の一系譜（酒井哲哉）
　はじめに
　1）民友社の英帝国
　2）大正デモクラットの英帝国
　3）京都学派の英帝国
　おわりに

第３章　非公式支配のほころび
　　　　－―アングロ・イラニアン石油会社の労働問題（池田朋子）
　はじめに
　1）イランにおけるＡＩＯＣ
　2）第二次世界大戦直後の状況
　3）労働者懐柔の試み
　4）ＩＬＯとイランの労働問題
　おわりに

第４章　世界的影響力維持の試み
　　　　－―スエズ以東からの撤退とイギリスの中東政策（芝崎祐典）
　はじめに
　1）地中海における防衛力の削減
　2）南アラビア連邦の動揺
　3）六日間戦争（第三次中東戦争）
　4）南アラビア連邦の解体
　5）中東和平と「均衡」の模索
　おわりに

第５章　人の移動管理分野の欧州統合
　　　　－―複数の国境概念とＥＵを主体とする国際秩序（岡部みどり）
　はじめに
　1）国境管理と国際秩序―－欧州統合との関連
　2）制度構築から政治課題へ
　3）ＥＵのパワー
　4）人の越境移動の制御（management）－―ＥＵ複層的国境の対外的認知
　おわりに

　第Ⅱ部　帝国間関係
第６章　「アジア人」から「ヨーロッパ人」へ
　　　　－―フランス領インドシナにおける日本人の法・行政的処遇（松沼美穂）
　はじめに
　1）インドシナでの日本人の地位の変更要求
　2）インドシナ総督府の日本人観
　3）日仏協約―－転換点
　4）帝国主義体制の動揺と補強
　おわりに

第７章　澳門からのアヘン密輸問題とイギリス帝国
　　　　－―1913年アヘン協定を中心に（古泉達矢）
　はじめに
　1）アヘンをめぐる香港・澳門関係の展開
　2）イギリス・ポルトガル間のアヘン協定
　3）1913年アヘン協定の運用
　おわりに

第８章　戦後イタリアの「アフリカへの帰還」
　　　　－―小帝国の帝国意識と大帝国との関係（八十田博人）
　はじめに
　1）イタリア植民地史における東アフリカ
　2）戦後イタリアの植民地認識
　3）旧イタリア植民地をめぐる四強の外交
　4）英米非公式帝国とイタリア
　5）イタリア・エチオピア間の外交
　おわりに

　第Ⅲ部　帝国とグローバル社会
第９章　ニュージーランド女性の国際意識と帝国
　　　　－―20世紀の幕開けから両大戦間期まで（原田真見）
　はじめに
　1）20世紀初頭の帝国におけるニュージーランド
　2）女性の平和意識と戦争
　3）国際的な連帯のまなざし
　おわりに

第10章　中国のロシア人女性難民問題と国際連盟
　　　　－―帝国の興亡の陰で（後藤春美）
　はじめに
　1）婦人児童売買禁止に向けての取り組み
　2）中国からの報告
　3）イギリスの民間団体による観察
　4）満州国への中東鉄道売却の影響
　5）国際連盟の限界と民間団体への期待
　おわりに

第11章　「帝国の残滓」
　　　　－―ウガンダからのアジア人流入とイギリス政府（浜井祐三子）
　はじめに
　1）ウガンダのアジア人とイギリス政府の移民政策
　2）アジア系住民の追放とイギリス政府の対応
　3）「ウガンダ・アジア人危機」をめぐるメディアの報道
　おわりに

第12章　覇権交代の陰で
　　　　－－ディエゴガルシアと英米関係（木畑洋一）
　はじめに
　1）脱植民地化と「スエズ以東」問題
　2）「インド洋英領協定」への道
　3）米基地化の準備と住民の放逐計画
　4）米基地の建設と国際世論
　おわりに

あとがき
索　引