アジアのなかの日本再発見
日本史の碩学が描き出す多彩な知的交流
湯の町城崎に生まれたガキ大将は、やがて神職の道、さらに教育・研究の道へ。ひろく日本とアジア、世界を見渡し、歴史学のみならず国文学、考古学、民俗学にも精通、研究者はもとより多くの作家・先学とも深くまじわってきた碩学による「生きた歴史」研究の軌跡。
第一章 生い立ちの記
1 三つのふるさと
湯の町城崎 竹馬のともがき 但馬のゆかり
2 学問へのめざめ
津田史学とのであい 卒論の思い出 折口学に学ぶ 折口学と柳田学
他界観 沖縄研究 朝鮮への想い
3 京都大学に学ぶ
西田文化史学 恩師の方々
4 高校教師として
部落問題に学ぶ 部落史の研究 帰化と渡来と
第二章 研究者の道
1 京都大学に在職
鴨沂高校とわが青春 柴田實先生と石門心学 石田梅岩の教え
2 石田梅岩とベラー教授
ロバート・N・ベラー教授の問題提起 個と普遍 心学と明治維新
心学の再生
3 女子大学長の日々
大阪女子大学へ 学長の3K
第三章 学界の渦のなかで
1 英雄時代論争
英雄時代とは 石母田の問題提起 批判とその問題点
2 国県制論争
井上教授との論争 アガタヌシ研究
3 神話研究の軌跡
津田博士の古典研究 日本神話の世界
4 祭りと芸能
芸能の起源 祭りの場 折口芸能史
5 アジア史学会の結成
東アジア史のなかで 結成への動き 設立の総会と大会
6 地域史の研究
地方と地域 中央史観の克服 出雲と北ツ海 地域史の編纂 篠村史
八日市市史 向日市史・山城町史 城崎・宮津・亀岡の市町史
第四章 人権文化の創造
1 部落史と朝鮮文化
人権文化とは 部落史の研究 朝鮮文化とのつながり
2 社叢の保存と活用
環境問題 いのちの尊厳 社叢学会の報告 モリとヤシロ
カミとヒトの接点 神社合併反対意見 モリとハヤシ
3 世界人権問題研究センター
平安京から京都へ 建都千二百年 研究センターの創設
4 海外の旅
モスクワそして韓国 訪中の旅 雅楽のヨーロッパ公演 生ける正倉院
パリへ三たび モンゴル訪問 ハンギョレコンサート
第五章 交響録
1 湯川秀樹と創造性の発揮
日本文化の創造 湯川先生との旅
2 『新・国学談』の四人
新・国学の集い 林屋史学の軌跡 梅原・梅棹両大人と
3 江上波夫の「騎馬民族征服王朝説」
江上先生と共に 四碩学の問題提起 喜田博士の民族史研究
江上説の波紋 騎馬民族国家
4 清張古代史と司馬史観
清張さんとのであい 『古代史疑』と『古代探究』 松本古代史の課題
司馬さんとの絆 『日本のなかの朝鮮文化』
主要著作一覧
あとがき
上田正昭略年譜
人名・文献索引