不老長寿を考える 超高齢社会の医療とスポーツ
わが国は「生活習慣病」予防に取り組み、いまや世界に誇る長寿大国となった。しかし裏返せば「寝たきり」の高齢者も多い。これは生活習慣病だけでなく、脳・神経の神経系と骨・関節などの病気に対する予防が不十分であったためである。
本書では、運動器学に長年かかわる著者が、歳をとっても自立した生活を送るための方法や、スポーツの効果とケガのリスクをわかりやすく伝える。また、長寿者の人口増加がもたらす食糧・水不足問題、社会保障問題などへの影響にも触れ、広い見地から「不老長寿」にまつわる想いを語る。
第Ⅰ部 不老長寿、その過去、現在、未来
第1章 紀元前のアジアの長寿者
1 始皇帝と徐福
2 徐福伝説
3 紀元前の人間の寿命
4 不老長寿の薬
第2章 不老長寿の医生物学
1 長寿と老化と寿命
2 長寿遺伝子と老化促進遺伝子
3 動物の寿命は何によって決まるのか
4 体細胞の不死化
5 脳細胞と心筋細胞の老化
6 新しい万能細胞
7 内分泌系と免疫系の老化
第3章 女性はなぜ男性よりも長寿なのか
1 平均寿命の性差
2 男性に多い病気
3 女性に多い病気
4 男女における病気と寿命との関わり
5 性染色体の関与
第4章 わが国の超高齢社会を診る
1 わが国における少子高齢化の特徴
2 日本人の高齢化は超高速
3 高齢者の定義は今のままでよいか
4 高齢者と老人
5 限界集落と国土の荒廃
第5章 生活習慣病と生活機能病
1 長生きはしたが寝たきり
2 成人病と生活習慣病
3 生活機能病とは
4 生活機能病に対する世界運動
5 介護予防とは
第6章 生活機能病の予防
1 認知症の予防
2 骨粗鬆症と骨折の予防
3 変形性関節症に伴う自立障害の防止
4 変形性脊椎症に伴う麻痺の防止
5 ニコニコ百歳─長寿、自立、幸福
第7章 わが国の介護保険制度はこれでよいか
1 団塊世代の高齢化
2 現役世代で支えきれるか
3 アメリカの老人村との比較
4 介護保険制度の問題点
5 介護難民
第8章 超高齢社会「日本」のゆくえ
1 戦後の倫理観の変化と長寿社会
2 虚弱老人はどう生きればよいのか
3 老人にとって家庭とは何か
4 安楽死と尊厳死
5 ジャパン・シンドローム(日本症候群)
6 寝たきり人口を減らすには
7 労働人口を増やすには
第9章 不老長寿と地球社会
1 不老長寿は地球社会にとって危険
2 抗加齢医学の進歩
3 人類の長寿化と地球環境
4 食糧増産の限界
第Ⅱ部 スポーツと生活機能病
第10章 人とスポーツ
1 人の二足歩行とスポーツ
2 人は何のためにスポーツをするのか
3 個人に適したスポーツ・トレーニングを
4 ピーク・ボーン・マス
5 成長軟骨帯
第11章 成長期のスポーツ障害
1 少年サッカーと下肢の関節障害
2 少年野球のピッチャーに多いスポーツ障害
3 少年期のスポーツと腰痛
4 少年期スポーツ外傷の予防と緊急処置
第12章 中年期のスポーツ
1 体力の評価とスポーツの選択
2 中年期のスポーツ傷害
3 骨折と捻挫と肉離れ
4 スポーツ中の突然死
第13章 高齢者の身体訓練
1 身体訓練の目的
2 高齢者の体力と訓練
3 高齢者がスポーツを楽しむには
おわりに
引用文献
索 引